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☆★Q&A: イラク選挙の焦点
Q&A: Iraq's election row
アルジャジーラ 2010年3月3日付
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※ この記事は3月3日、つまりイラク総選挙の投票(7日)直前に報道されたものだが、最初に取り上げる問題はバース党排除委員会による、立候補禁止措置である。「バース党に関係している」という口実を設けること自体が、これまでのシーア派至上主義者によるテロに同調するもので、世俗主義(政教分離)の政治家やスンニ派の候補、有能なテクノクラートや有識者に対する圧力、あるいは選挙からの排除策動といえる。
開票の確定結果が発表されるまで時間がありそうなので、今回の選挙を評価する前に、今一度、この問題を振り返っておこう。これまでのところ、投票以後の選挙報道でこの問題を正面切ってとりあげる商業ジャーナリズムはないようだし、各派が選挙の「不正」を主張しているが、「不正」を本気で言うなら、この問題が最優先で取り上げられてもおかしくないと思う。
もちろんこの記事は、この問題だけをとりあげているのではない。クルドの問題も、キルクークで世俗主義の会派イラキーヤが圧勝している現実から、クルド同盟の主張がほんとうにクルド人ないし共存を望む他の民族の意向を代弁しているのか、冷静に考えてみる契機にすべきだろう。
UPDATED ON:
Wednesday, March 03, 2010
15:50 Mecca time, 12:50 GMT
http://english.aljazeera.net/focus/iraqelection2010/2010/02/20102149181086396.html
2003年の米軍侵攻以来2度目となるイラク国民議会選挙は、3月7日に予定されている。イラクの高等選挙委員会は325議席を争う6172人の立候補者を承認した。
しかし511人の立候補者に選挙への参加を禁止した決定は、選挙の信頼性を脅かすもので、イラクの宗派至上主義と民族優先勢力を調停するうえで重大な問題だと指摘されている。
◆排除された立候補者はどのような人物か?
彼らは公正監査委員会(AJL)のもとで、議会の承認を受けて、バース党排除全国最高委員会によって排除された。
◆彼らが排除された理由は何か?
彼らが排除されたのは、イラクの元指導者サダム・フセインのバース党につながりがあるからだと言われている。
◆その排斥は取り消されたのか?
ノー。立候補を禁止された人々は、イラクの最高裁判所に訴える権利を有しており、彼らのうちの177人が立候補禁止の決定に異議を申し立てている。
最高裁は149人については公正監査委員会の決定を支持したが、28人の立候補者の訴えについてはそれを認めて、その後に彼らの立候補禁止措置を取り消した。
◆511人のうち177人だけが異議を申し立てた理由はなぜか?
他の人々は、幾つかの理由があって、それぞれの所属する名簿ないし政党によって差し替えられた。
また彼らのなかにはバース党排除委員会を違法な組織と見なす者もいて、彼らは委員会の正当性を認めたくなくて、訴えることに反対した者もいる。また幾人かは、目標はみずからの政党および連合会派が議席を得ることであり、誰が議員に当選するかは二の次と考えて、他の候補者と入れ替わった。
◆排除された候補者が所属する会派はどこか?
彼らは主にイラキーヤという連合会派に属していた。アヤド・アラウィ前イラク首相が率いる会派である。その候補者自体はスンニ派あり、シーア派あり、クルド人も交じっていて、世俗主義(政教分離)の政治家を標榜している。
◆選挙への参加を禁じられた候補者のなかで著名な人物は誰か?
「未来への国民集合」の代表者ダール・アル・アニ、「イラキーヤ名簿」の共同創設者サレハ・アル・ムトラクが、最も有名である。
◆排除された候補者の最高裁判断に対する反応は?
彼らは最高裁が与党の影響下にあることを非難した。彼らはまた、政府のかかげるイデオロギーと政治スタイルに賛同しない者を排除することによって、政府は民主主義の若芽を潰していると非難した。
◆与党の反応はどうか?
彼らは最高裁判断を賞賛し、判決に影響力を及ぼしたことはないと述べるとともに、立候補禁止措置は合法的だと主張した。
◆関係政党の反応はどうだったのか?
イラキーヤは選挙活動を三日間休止して交渉にあたった。彼らは立候補禁止措置の取り消しを要望したのだ。
◆今後どんな展開になるのか?
イラキーヤは、「選挙を前に適切な民主的雰囲気を作りだす」ために、禁止措置の取り消し大統領会議に求めた。イラキーヤは連邦裁判所に立候補禁止措置の撤回を訴える準備を整えた。
しかし、選挙への参加を禁止された著名な政治家であるサレハ・アル・ムトラクが3月7日の選挙に出ないことを発表するにいたって、そうした努力は失敗に終わった。
ムトラクの所属政党はイラキーヤに加盟しており、イラキーヤはアラウィ前首相が代表を務める宗派横断の連合会派である。アラウィは再び首相になる野望を持ったシーア派の世俗主義政治家である。
イラキーヤは、一部の加盟者がボイコットしても、選挙には参加するつもりだと宣言した。
現在、多くのイラク人は、宗派・民族間の緊張が高まれば、この2年間の治安改善も失われかねないと感じている。
◆それは政権交替が平和的に行われないという意味だろうか?
選択肢は対照的な道である。シーア派が率いる政府のもとで、信仰に助けを求めるかどうかは、イラクの1890万人の有権者が決めるだろう。
それは、イランが後押しするイラク・イスラム最高評議会と並んで、ムクタダ・サドルの支持者らが参加するイラク国民連合(INA)のもとで、隣国イランともっと親密な関係を築くことを意味する。
イラクはほかに、イラキーヤとともに進む道を選ぶことも可能である。イラキーヤは、世俗主義のシーア派教徒で、イラク社会内に働きかけているアラウィ前首相が率いている。
◆マリキの法治国家連合だとどうか?
おそらく幾分は中間的なものだろう。マリキは2006年に妥協を選んで生き残り、自らをナショナリストだと演出し、宗派横断の政治路線で国を安定させるといって地歩を築いた。
しかしバグダッドで政府その他のビルが爆弾攻撃の標的にされる事件が相次いだために、彼の治安回復策は地に墜(お)ちた。これに対して、彼は繰り返し事件をサダムのバース党員の仕業だと非難し、それはイラクのアルカイダと結びついているとデッチアゲることで、宗派主義的な緊張を高めてきた。
◆選挙はイラクに住むクルド人にとって転換点となりうるか?
キルクークでの得票がどのように配分されるかの議論が、アラブにとってもクルドにとっても焦点になっており、そのせいで選挙の実施が1月から3月に延期された。
イラク北部の3つの州で自治を行っているクルド人は、サダムによってキルクークから追われた。クルドはシリアからイランにあたがる広い領土を支配しようとしている。
同盟者としてアメリカに信頼されてきた少数民族にとって、今回の選挙は大きなステップとなる可能性はある。
しかし、何年も抗争が続いた今、多くのイラク人と共に今回の選挙にかける夢と希望は、安心して暮らせる国がほしいという点にいっそう絞られてきている。
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